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妊娠・出産は、病気ではないですが、通常な状態でない事は自覚して普段以上に健康管理に注意しましょう。ここでは、妊娠・出産の病気・気になる症状を紹介しています。いつもと何か違うことがあれば、すぐに医師の診察を受けるようにして下さい。
風疹
俗に「三日麻疹」と呼ばれます。妊娠初期に感染すると、おなかの赤ちゃんに影響を及ばして、難聴や白内障、心臓の奇形、知的障害などの以上を引き起こすことが多く、これを「先天性風疹症候群」と言います。ただし、妊娠20週を過ぎれば、感染しても異常が出る確率が低くなります。なお、風疹は一度かかると体の中に抗体ができるので、再度感染の心配はありません。それで現在は、中学生の女子に風疹ワクチンの接種を行っています。風疹の抗体があるかどうかは、血液検査でわかるので、抗体がない場合には、妊娠初期に風疹にかからないように十分に注意しましょう。妊娠していなければ予防接種を受けた方が安心です。接種後、最低2ヶ月間は妊娠を控えて下さい。
風邪・インフルエンザ
風邪にかかった場合、むやみに風邪薬を飲まないことはもちろんですが、熱や咳など、症状が酷い場合には、受診をして下さい。インフルエンザ(流行性感冒)は風邪の中でも、特に症状が重くて感染力が強いものですが、妊娠中に感染するとさらに症状が重くなることが多いようです。肺炎を併発したり、高熱や激しい咳が早産を招いたりする事もあります。必ず、医師の診察を受けて治療して下さい。
虫垂炎
俗に盲腸炎と呼ばれています(が、この呼び方は間違い)。妊娠中に注意して欲しいのは、子宮が大きくなるにつれて虫垂が押し上げられ、普段の位置と違ってくることです。症状は妊娠していない時と同様に、下痢や吐き気があって、さらに虫垂のある右下腹部や胃が痛みます。妊娠中にはしばしば腹痛を感じることがありますが、虫垂炎の場合は吐き気や下痢を伴う事が一つの目安です。
トキソプラズマ症
トキソプラズマとはほ乳類や鳥類に寄生する原虫です。
妊娠中に感染すると、流早産の原因となったり、子供が水頭症になる恐れがあります。中でもこの原虫の終宿主は猫とみなされていますから、猫を飼っていて気になる場合は抗体検査を受けて下さい。もし、感染がわかったら、抗生物質などで治療しておなかの赤ちゃんへの影響を防ぎます。
また、ペットに原虫が寄生しているかどうか、ペットの糞便を検査して調べることもできます。ただし、糞便に原虫が排出されるのは一定の期間だけなので、検査が陰性でも安心はできません。いずれにしても糞の始末に注意して、口移しでエサを与えたりしないなど、衛生面には十分に注意しましょう。
エイズ
近年話題になっているエイズ(AIDS)は、特有のウィルス(HIV)に感染することによって、免疫機能が侵される病気です。血液や性交、注射などが主な感染経路です。感染の有無は、血液中にHIVの抗体が含まれるか否かを検査して確認します。
また感染しても、すぐには発症せず、数ヶ月から数年間は潜伏します。発症していない感染者のことを抗体保有者(キャリア)と呼びます。そして発症が比較的軽いうちはエイズ関連症候群と診断します。この段階ではリンパ節が腫れて、38度以上の発熱、食欲不振や下痢が続き、カンジダ性食道炎などを併発することもあります。さらに症状が本格的になると、免疫力が極度に低下するため、体が病原体や原虫、カビなどの感染に抵抗する事ができません。それで「カリニ肺炎」「カンジダ症」「カポジ肉腫」などを引き起こします。治療法は現在研究中です。
さて、感染者が妊娠した場合には、胎盤の血液、分娩中の血液接触、産後の授乳などを通して赤ちゃんに感染する可能性があります。が、胎盤の血液は直接おなかの赤ちゃんの体内に流れこんでいるわけではないので、必ずしも感染するとは限りません。また、抗体保有者は、妊娠によって発症率が高くなりますから、常に医療と連携して健康状態を把握する事が必要です。
成人T細胞白血病
ウィルス(HTLV-I)に感染することによって発症する特殊な白血病です。感染していても発症するとは限らず、一生発症せずに過ごすこともあります。特に若い頃には発症率が低く、40歳以上になると発症例が増えてきます。
抗体保有者が妊娠した場合には、赤ちゃんへの感染が心配されますが、胎内や分娩時に感染する可能性は低いようです。ただ、母乳中にウィルス感染細胞が含まれているので、授乳による感染は確実にあると考えられます。
妊娠中毒症
妊娠20週以後にいくつかの症状が複合的に現れて、母体とおなかの赤ちゃんに悪影響を及ぼす症候群です。原因ははっきりしませんが、妊娠中に発症して出産後には治ることから、妊娠中毒症と呼ばれています。
症状
主な症状は「高血圧」「尿蛋白」「むくみ」の3つで、中でも「高血圧」が最も重視されます。妊娠して初めてこうした症状が現れた場合を「純粋型妊娠中毒症」、以前からこうした症状を伴う疾患があって、妊娠によって悪化した場合を「混合型妊娠中毒症」と言います。
まず「むくみ」から発症する例が多く、急に体重が増えて(1週間に500c以上)、その頃から靴が入らないなどの特徴が現れます。多少のむくみは、妊娠中にしばしばみられるのですが、こちらに示した注意点が認められる場合は、すぐに診察を受けて下さい。
さらに妊娠末期になると「高血圧」や「尿蛋白」が現れます。もし、初期や中期からこうした症状が認められる場合は、特に注意が必要です。
その他、疲労感や頭の重さがあったり、さらに進むと吐き気や頭痛、胸の痛み、耳鳴り、かすみ目などの症状も出てきます。
母胎やおなかの赤ちゃんへの影響
体への影響としては、症状が酷くなると、「腎機能障害」や「眼底出血」、「脳出血」「肺水腫」などを起こす恐れがあります。
また、胎盤の血流が不足して胎児の発育が遅れたり、「高血圧」で血管がもろくなるため、「胎盤早期剥離」を招いたり、さらに「早産」や分娩中の「胎児仮死」や「死亡」にも用心しなければなりません。
子癇(しかん)
妊娠中毒症の場合、「けいれん発作」を起こすことがあって、これを「子癇」と言います。突然起こることもありますが、普通は2〜3日前から徴候がが見られます。「強い頭痛」や「めまい」「吐き気」や「胃痛」「目がチカチカ」したり、見えにくい等。発作が起こると、意識不明となり顔面の筋肉がけいれんし、さらに全身にけいれんが広がって、体が弓なりにそらします。呼吸筋もけいれんするので呼吸が一時停止して顔面が赤紫色になりますが数十秒で治まります。次の1〜2分間は不規則な呼吸と共に転げ回ったり、口から泡を吹いたり。それから昏睡状態に入ります。数十分から数時間して意識が回復しますが、当人には発作の記憶がないでしょう。中には、さらにけいれんの発作を繰り返したり、昏睡状態のまま死に至ることもあります。
子癇は分娩中に起こることが多いのですが、妊娠中に起こることもあります。そばにいやあわせた人は、すぐに救急車を呼んで、医師に連絡して下さい。
症状を抑える努力
このように妊娠中毒症は、酷くすると非常に怖い病気です。そうならないため、医師の指導に従って症状を抑えましょう。
食事については塩分を控えること!動物性脂肪と糖分を控え、低カロリー高タンパクの食事を心がけて、体重の増えすぎを解消するようにします。また、むくみがあって尿量が減っている場合には、水分補給の制限が必要になります。そして、十分に休養をとってゆったりと生活するように努めます。入院すれば徹底して安静をとることができますが、家にいるなら家事の合間に昼寝をしたり、夜はパパに後かたづけを任せて早めに寝るなど、家族の協力を得て体を休めることです。足にむくみが出ている場合は、休む時に足を高くして寝るといいでしょう。
また、体だけではなく心の安静も大切です。イライラしたり、クヨクヨしたりすると症状を悪化させます。ラベンダーの香をたいて心を落ち着けたり、好きな音楽を聴いて気持ちを和ませたり、信頼できる人と話したり。色々工夫ぢて心の休息もとって下さい。
流産
流産の原因
妊娠21週までに分娩が起きそうになること、あるいは起きてしまうことを流産と言います。この時期に産まれてしまった場合、残念ながら赤ちゃんの命は助かりません。
原因は色々考えられますが、妊娠12週以前の流産では、赤ちゃんの染色体異常によることが多いようです。
さらに妊娠が進んでからの流産の場合には、母体に原因が多くなります。「筋腫」や「卵巣嚢腫」「子宮頸官ポリープ」によることもあるし、「膣炎」「その他の感染症」「腎臓病」や「糖尿病」「高血圧」などの発病、激しい下痢や転倒などの衝撃が流産を誘発する事もあります。また、子宮の奇形や多胎児妊娠も、時として流産を招くし、中期以降には「頸官無力症」を原因とすることが多くなります。
切迫流産・切迫早産の安静表
安静度 1 2 3 4 5
食事 食卓で食べる 食卓で食べる 食卓で食べる ベットの上で起きて食べる 寝たまま食べる
洗面 洗面所に行く 洗面所に行く 洗面所に行く 室内で自分でする ベットに寝たままさせてもらう
排尿・排便 トイレへ行く トイレへ行く トイレへ行く 室内で便器を使う ベットで便器を使う
面会・テレビ 疲れぬ程度 かなり制限をする かなり制限をする 短時間のみ 禁止
歩行 階段も良い 階段も良い 廊下まで 室内のみ 禁止
洗髪 自分で洗う 自分で洗う 洗って貰う 洗って貰う 禁止
入浴 よろしい
3日おき→2日おき→1日おき
シャワーなら良い シャワーなら良い 禁止 禁止
性生活 禁止 禁止 禁止 禁止 禁止
症状と経過
子宮が収縮して胎盤がはがれかかると、性器から出血して、おなかの張りや痛み、腰痛を感じます。それでもまだ子宮頸官が開かず、破水もなくておなかの赤ちゃんの心音も正常であれば、流産の進行を止めることができます。この段階を「切迫流産」と言います。流産をくい止めるには、何より安静にする事。そして子宮収縮に対しては、子宮筋を弛緩させる薬剤を投与します。
さらに進行すると、出血が増加して子宮頸官が開き、胎盤た胎児が出てくるようになります。こうなるともう止められません。この後、胎児や胎盤がすっかり娩出されて子宮が収縮した状態に至った場合を「完全流産」と言い、娩出後の出血は3〜4日で止まるはずです。一方、全て娩出されずに一部が子宮内に残った場合を「不全流産」といい出血が続いて腹痛も治まりません。感染の危険性もありますので、掻爬手術を受けて、子宮の残留物をきれいに除去します。
また、子宮頸官無力症と言って、子宮芽腫宿していないのに子宮頸官が自然に開いてしまう場合があります。この場合には、子宮頸官をナイロンテープで縛る手術(頸官縫縮術)をします。すると多くの場合、妊娠を継続する事が可能です。
その他、出血や腹痛などの症状もないまま、子宮内で胎児が死亡してしまうこともあります。この状態を(稽留流産」といい、胎児の心音が聞こえなくなることで気付きます。こうなると掻爬手術あるいは分娩誘発をして、人工的に娩出する事になります。
流産した場合
不幸にして流産してしまったら、今後のためにもしっかりと静養しましょう。出血や腹痛、発熱などの症状がなくなっても2週間ぐらいは安静にして、性生活も控えて下さい。不全流産などで掻爬手術をした場合には、普通1週間ほどして完全に止血すれば入浴が許可されます。また、シャワーを浴びるだけなら、2〜3日後から可能です。
流産の後は子宮内が感染しやすい状態になっています。感染して「子宮内膜症」や「卵管炎」を起こしてしまうと、その後の不妊にもつながりますから、十分に注意して下さい。
多胎児妊娠
多胎の原因と種類
多胎妊娠とは二人以上の赤ちゃんを妊娠する場合を言います。ほとんどは、双胎(双子)ですが、稀にはそれ以上の場合もあります。双子には、「一卵性」と「二卵性」の別があり、それぞれ成り立ちが違います。まず、「一卵性双胎」の場合は、1つの卵子が受精して、その受精卵が分裂する過程で2つに分かれたために起こります。卵巣も精子も1つ受精卵から分かれたのですから、同じ性別で顔や体格もそっくりになります。一方、「二卵性双胎」の場合は、卵巣から2つの卵子が排出され、それぞれに別々の精子が受精しています。だから性別が違うこともあるし、顔や体格なども見分けがつかない程そっくりにはならず、きょうだい程度の似方です。なお、不妊治療で排卵誘発を行った場合には、複数の排卵を招くことが多く、2割程度が多胎になっています。また、体外受精をして人工着床する場合にも、確実に着床させるため、しばしば複数の受精卵を着床させるのです。こうした場合には、3胎以上の多胎になる可能性もあります。
また「一卵性双胎」の場合は、一つの胎盤を共有しますが、二枚の羊膜で隔壁がある「二羊膜一卵性双胎」になる場合と1枚の羊膜で隔壁がない「一羊膜一卵性双胎」の場合に分かれます。さらに受精後72時間以内の分裂した場合には、羊膜の外側をおおう絨毛膜も別々、つまり「二絨毛膜二羊膜一卵性双胎」になります。
一方、「二卵性双胎」は2つの受精卵がそれぞれ着床するわけですから、胎盤、絨毛膜、羊膜とも別々です。ただし、同じ場所に着床した場合には胎盤がくっついて1つになっています。
多胎妊娠の注意
複数の胎児の成長を支えるために、母胎への負担が大きいことは当然です。そのため腰痛や貧血、妊娠糖尿病、妊娠中毒症、羊水過多症などの合併症を起こしやすいので十分に注意が必要です。また、単胎の場合よりも早いペースで子宮が大きくなるので、しばしば早産になります。なるべく正期産にするように、疲労を避けて十分に休息をとるように心がけて下さい。
多胎の異常
子宮の空間や母体の血液を複数で分け合うため、赤ちゃんが十分な成長を妨げて、低体重児が産まれてくることが多いのは仕方のないことです。また胎児発育不均衡と言って、一方の赤ちゃんの発育が著しく妨げられている場合もあります。さらに一卵性で同じ絨毛膜に入っている場合には、一方の赤ちゃんの血液が他方の赤ちゃんに流れ込む事もあります(双体間輸血症候群)。すると一方は貧血による著明な発育不全に、他方は多血による心不全になり、双方ともに予後不良になる(その後の経過が悪くなる恐れがある)でしょう。
あるいは妊娠の途中で、残念ながら一方の赤ちゃんが死亡した場合、それが妊娠初期であれば、生き残った赤ちゃんの発育とともに流産児の方は消失するはずです。が、妊娠中期以降に起こった場合には、これをきっかけに早産になったり、生き残った赤ちゃんに多臓器障害や仮死が起きたり、また母体に「血液凝固障害」が現れる可能性もあります。そのため、残った赤ちゃんが子宮外へ出ても生存可能な収集に達していれば、人工的に分娩することが多いです。まだ、子宮外に出られない時期であれば、入院して母体と残った赤ちゃんの状態を管理しながら、娩出の時期を待つことになります。もちろん、多胎であっても双胎ならそれ程、珍しくないし、順調に正常分娩までこぎつけるのが普通なので、たいていは心配には及びません。ただ、こうした危険性もはらんでいることを頭に入れて十分に健康管理をする事です。
子宮内膜症・子宮筋腺症
子宮内膜症は子宮腔の内壁を覆っている粘膜で、ホルモンの刺激によって充血し、妊娠しないと一定の期間ではがれて月経血として膣から排出されます。この子宮内膜が子宮腔以外の場所に飛び火してしまうのが「子宮内膜症」です。卵巣にできることが多いのですが、そうなると月経の度に卵巣の中で出血し、その血液は排出できないので、少しずつたまって嚢腫を作ります。たまった血液はチョコレート色をしているので「チョコレート嚢腫」と呼ばれます。また、内膜症の場合には、しばしば骨盤内臓器の癒着を起こします。例えば、卵巣が子宮と癒着していたり、子宮が内膜と癒着してたり。
一方、子宮線筋症とは、子宮内膜が子宮の筋層の中に潜り込んだために起こるもので、子宮内膜症の一種です。発症すると生理痛を引き起こしたり、子宮を膨張させたりして支障をきたすことになります。なお、子宮内膜症の場合は、不妊の原因になりますが、子宮線筋症はさほど妊娠を妨げません。
いずれにしても妊娠すれば月経が止まるので、症状は改善します。また、治療後に妊娠したのであれば、妊娠経過についても普通と変わらず、特に問題はないはずです。
児頭骨盤不均衡
赤ちゃんの体の中で最も大きいのは頭部です。だから赤ちゃんが骨盤の間を通り抜けられるかどうかは、児頭と骨盤の大きさの関係で決まります。児頭骨盤不均衡というのは、児頭が大きくて、あるいは骨盤が狭くて、児頭が骨盤の間を通り抜けられない場合で「狭骨盤」ともいいます。
「児頭骨盤不均衡」が疑われる場合のは、まず母体が小柄で骨盤が小さい場合、それから子宮底が36a異常で巨大児が疑われる場合、予定日を超過して児頭が大きくなっているkとが心配される場合、または妊娠末期になっても児頭が骨盤入り口に固定せずに浮動している場合などです。
こうした場合には、超音波検査で児頭の直径を計り、骨盤計などを浸かって骨盤の大きさを計り、双方を比較します。X線で精密な骨盤計測をする場合もあります。その結果、骨盤の方が1.5a以上大きければ、骨盤内の厚みを考慮して、十分に児頭が通り抜けられるはずです。が、もし1.0a以下であれば不均衡と判断されて、帝王切開になります。
その中間の場合には、不均衡の可能性が否定できないので試験分娩です。つまり、まず経膣分娩をを試みて、やはり通れなければ途中で帝王切開に切り替えると言うこと。お産になると、児頭は変形して骨盤通過に対応するので、実際には、無事通過できることが多いものです。ただし、骨盤位の場合には児頭で産道を押し広げることができないので、2a以上骨盤が大きくないと、安全とは言えません。
子宮内胎児死亡
妊娠中期以降におなかの赤ちゃんが死亡する例は非常に少ないですが、妊娠初期には胎児の心音が止まってしまうことがあります。そのまま娩出されずに留まっている場合「稽留流産」です。
妊娠初期に起きた場合や、徴候がなく突然に死亡してしまった場合には防ぐことができませんが、事前に次のような徴候が認められれば、赤ちゃんの心拍動の状態や胎盤機能の検査などをして、妊娠状態の確認をします。例えば、妊娠週数の割に子宮が小さい、急に子宮が増大した、胎動が減った(なくなった)、下腹部痛がある、腹部の張りが続いている、出血があった・・・など。
もちろんその結果、赤ちゃんが元気で、胎盤機能が正常であることが確認できれば安心して下さい。子宮の大きさには個人差があるし、赤ちゃんだって動きたくない時もあるでしょう。
ダウン症候群
受精卵の染色体異常が原因で、生まれた子供の知能や発育に障害が出る病気です。人間の染色体数は46本、2本1組で23組になっています。それが減数分裂して半分の23本になり、卵子や精子に乗っています。
ところが、ダウン症の場合、卵子の21番目の染色体が減数分裂せずに2本1組のままなのです。そのため、受精すると21番目の染色体は3本1組になり、全体数は47本。つまり正常な染色体数より1本多くなってしまうわけです。
こうした異常の原因は母親の卵子にあり、その発症率は母親の年齢が高くなる程増えることが知られています。40歳を超えると、初産か経産かを問わず確率が上がるようです。
また、ダウン症候群であるかどうかは「羊水検査」をすれば妊娠中に知ることができます。が、検査には危険がないわけではないし、前途したようにもし異常があった場合、どういう判断をするのかまで含めて、安易には考えられません。
妊娠悪阻
妊娠初期につわりになるのは正常の範疇ですが、その症状が酷くなると妊娠悪阻と呼び、異常として区別します。例えば、何も食べられず、食べた物を全て吐いてしまうような状態が続いたり、吐くものがなくなって胆汁まで吐いてしまったり、そのために体重が何キロも減ったり・・・という症状がみられる場合には、医師の診察を受けて下さい。また、体が衰弱して皮膚がカサカサに乾いてくるようであれば、かなり重症のつわりと考えられます。
こうした症状が続けば、脱水症状や栄養障害を起こしたりして、おなかの赤ちゃんはもちろん、妊婦さん本人も危険です。悪化すれば、肝臓障害や脳障害を誘発し、死に至る可能性さえもあります。ここまで悪くなることは稀ですが、こうなると妊娠の継続はむりでしょう。
治療としては点滴などで水分や栄養を補給することで、入院する場合もあります。精神的な重圧が症状を重くしている場合などは、入院して安心することで症状が軽快する事もあります。
子宮外妊娠
普通、卵子は卵巣から腹腔内に排出されて、卵管に吸い取られ、そこで受精して、さらに卵管内を移動して子宮腔に至って着床します。ところが稀に子宮腔以外の場所で受精卵の着床が起こることがあり、これを「子宮外妊娠」と呼びます。中では卵管内に着床する卵管妊娠が最も多く、卵巣や腹腔で妊娠するのは稀です。その他、子宮腔入り口の間質部、子宮口付近の子宮頸部に妊娠した場合も子宮外妊娠になります。
こうした場所に着床してしまうと、大きくなることができませんから、妊娠初期に破綻します。つまり、卵管が破裂したり、腹腔内で流産したりするわけです。但し、現在では、超音波診断で妊娠4週から胎嚢を確認することができるので、初診の段階で胎嚢の位置を確認しています。だから、早い時期に受診すれば、破裂前に子宮外妊娠に気付く事もできます。が、破裂して症状が現れて気付くことも少なくないようです。
もし、妊娠部分が破裂すると、激しい腹痛とともに膣から出血があります。出血は外に現れるだけではなくて、腹腔内に流れ出していることも多いので、急激な失血のため貧血状態になり、顔が真っ青になって冷や汗が出たり、吐き気を催したり、さらには、ショック状態になって意識を失うこともあります。こうした症状が出たらすぐに救急車を呼んで下さい。
また、中にはこうした典型的な症状が現れず、腹痛も軽く、出血量も少ない場合もあります。すると、遅れて月経が始まったと勘違いしてしまうかもしれません。しかし、たとえ少量ずつの出血であっても、子宮外妊娠の破裂による出血は、その場所を治療しなければ止まりません。なお、腹腔内に血液がたまれば、外からお腹を押すと痛みがあり、そえを急に離すと響いてさらに痛みます。こうした症状は炎症を起こした時にも現れますが、炎症の場合には腹壁が張って硬くなります。内出血の場合には硬くなりません。
いずれにしても子宮外妊娠が発見された場合には、すぐに手術して患部を取り除く事になります。卵管妊娠の場合には、その卵管を摘出することになりますが、もう一つの卵管が機能していれば、次の妊娠は可能です。
前置胎盤
胎盤は子宮の上部につくのが普通ですが、それが下部についているのが「低置胎盤」、さらに内子宮口にかかっているのを「前置胎盤」と言います。胎盤の位置は超音波検査で確認できます。胎盤が子宮口にかかる程度によって「全前置胎盤」「一部前置胎盤」「辺縁前置胎盤」に分かれます。
ただし、妊娠中期以降、前置胎盤が解消する可能性もあります。子宮が大きくなるにつれて子宮峡部が開大してくるため、胎盤が子宮口にかかる程度が浅い場合、胎盤が子宮口から少し離れるからです。そうなれば自然分娩できる可能性も出てきます。
また、妊娠後期には子宮口が伸びやすい上、開き始めたりすると、胎盤と子宮との間にズレが生じ、胎盤の一部がはがれて出血することがあります。お産の際は、「全前置胎盤」または「一部前置胎盤」であれば帝王切開になりますが、辺縁前置胎盤なら状況次第で経膣分娩も可能です。
羊水過多症
羊水の量は最も多い時で700og、妊娠末期では300〜400og程度が普通です。これが800og以上になると、「羊水過多」と診断されます。原因としては、まず母体の羊水を分泌が過剰になっている場合が考えられます。一方、赤ちゃんの消化器等に異常があって、羊水を飲み込み吸収する事ができない場合もあります。あるいはママが糖尿病を合併すると、赤ちゃんの血糖値が上がり、多尿になって羊水を増加させるし、さらに原因がわからない場合も少なくありません。
羊水量がが過多になると、お産の前に破水してしまうことがあるので、それを避けるために、できるだけ腹圧をかけないように注意して、激しい運動は避けましょう。なお、超音波検査などでお腹の赤ちゃんに重症奇形がないことが確認され、治療上も羊水検査の必要がない場合は、通常通り自然分娩ができます。
胞状奇胎
胎盤を作るはずの絨毛が、直径0.5〜1aの水腫して異常に増殖する病気です。「胞状奇胎」を発症すると、お腹の赤ちゃんは発育できずに吸収され、子宮の中は水腫化した絨毛で満たされます(全胞状奇胎)。その様子がまるでブドウの房のようなので、俗に「ブドウ子」と呼ばれます。稀には胎児が存在する場合があり、これを「一部胞状奇胎」と言います。
「胞状奇胎」になると、妊娠初期に出血が続いたり、つわりが酷く、子宮が標準より大きくて柔らかいなどの特徴がみられます。また、流産して出血する場合には、血液にブドウかイクラのような粒が混じります。ただし、そうした症状が現れる以前に超音波検査によってかなり早い時期に判断がつくはずです。「胞状奇胎」とわかったら、すぐに掻爬手術を行いますが、完全に取り除くため、術後1週間で再掻爬をして、奇胎組織を完全に取り除くように努めます。
また、奇胎が子宮の筋肉の中に食い込んでいる場合を「侵入奇胎」、筋肉内へ侵入のないものは「非侵入奇胎」といいますが、「侵入奇胎」の場合には、恐らく掻爬だけでは済まないでしょう。
奇胎が子宮内に残ると増殖して絨毛ホルモンを分泌しますから、手術の後も毎月1回、最低1年間は尿検査をして「ヒト絨毛性ゴナドトロピン」が尿中に排出されていないかどうかを確かめます。もし奇胎が残っていてhCGの分泌が続くと、これが卵巣機能を抑えるので基礎体温が乱れます。だから基礎体温を毎日記録して、月経周期がきちんと繰り返されているかどうかを観察することも大切です。なお、奇胎が子宮内に残ると、「悪性腫瘍化」して「絨毛癌」に発展する恐れがあります。だから定期検査は必ず受けて下さい。また、すでに妊娠の意志がなければ、子宮を摘出する事も考えられます。
血液不適合
血液型にはABO式とRh式の分類があります。赤ちゃんの血液型は遺伝によりますが、必ずしも母親と同じ血液型になるとは限りません。それでママとおなかの赤ちゃんの血液型が違うと、場合によっては妊娠・出産の過程で「血液型不適合」を起こす可能性もあります。
この場合、妊娠シュツサンの過程でお腹の赤ちゃんの血液がママの血液の中に入ると、ママの血液の中に異種の血液に対する抗体ができます。それで次の妊娠の時に、この抗体が胎盤を通じてお腹の赤ちゃんの血液を破壊することになるのです。そうなると重症な貧血から胎児水腫を起こすこともあるし、生まれてからしばしば重度の黄疸を示します。
とはいえ、普通はママとおなかの赤ちゃんの血液が混じることはないし、稀にそうなっても、ABO式の血液不適合では、おなかの赤ちゃんが重症になることはほとんどありません。
また、Rh式の場合、Rhマイナスの血液はRhプラスの血液と混じると抗体を作りやすく、Rhプラスの赤血球をこわす(溶血させる)働きをします。が、Rhプラスの血液は抗体反応ありません。だから問題は、ママの血液型がRhマイナスの場合に限られています。この場合には「血液型不適合」の予防として、出産後、ママに対して抗Dグロブリンを注射します。するとママの胎内に抗体ができるのを妨げるため、次の妊娠の際、おなかの赤ちゃんの赤血球を壊すようなことはありません。それで「血液型不適合」による黄疸はほとんどみられなくなりました。とはいえ、万が一新生児が溶血を起こした場合には、すぐに交換輸血の処置をとります。こうした可能性を考えると、Rhマイナスのママは、設備の整った病院を選んだ方が安心です。
播腫性血内凝固症候群
血液の凝固性が高まり、血管内で血液の凝固が生じて、多数の微小栓を形成する状態。「常位胎盤早期剥離」や「失血性ショック」「感染流産」、あるいは母体の血液への羊水混入などが原因で起こる症状です。また、その反動で却って血液の凝固作用が低下して、傷口の血液が凝固しないために大出血を起こす危険性があります。この場合、新鮮血の輸血と同時に、血液の凝固と溶解を調節するための投薬をしながら、出血を防ぎます。
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